円山動物園:AIで動物の健康管理「研究次第でペットにも活用可能」

円山動物園:AIで動物の健康管理「研究次第でペットにも活用可能」




北の大地からAIに関する暖かいニュース

人工知能により動物を管理

北海道札幌市にある「円山(まるやま)動物園」

1950年から運営されている円山動物園は、ホッキョクグマの繁殖に成功したり、絶滅危惧種となっているユキヒョウがいることでも有名だ。

この円山動物園で「顔認識システム」や「音声認識」等の人工知能に、動物の日常での生体や鳴き声を機械学習をさせることにより、病気の早期発見や行動予測の可能性を図ろうとしている。



2010年頃から相次ぐ不祥事

円山動物園が、日本国内の動物園の中でも先立って、動物の健康管理に人工知能を導入しようとしているのには理由がある。

それは、2010年頃から始まる不祥事にあった。

元を正せば、それは2005年頃から始まっていた。

北海道内には、大きな動物園として、円山動物園に続き、旭川市の旭山動物園がある。

現在、東京都の上野動物園と並んで、国内トップの入場者数を誇る旭山動物園。

この旭山動物園は、2005年にNHKの番組「プロジェクトX」に取り上げられ、翌年2006年にはフジテレビ系で同動物園を舞台としたドラマが作成放映された。

両番組とも大評判となり、2007年には日本国内動物園での第2位の入場者数となった。

これの影響で、同じ北海道内にある円山動物園は大きな経営打撃を受けることとなった。

それにより、従業員数縮小などによる経営圧縮を行ったが、それが以降の園内における不祥事による、動物たちの死亡事故に繋がっていった。

・2003年3月:ワラビーが暖房から吹き出したスチームに驚き壁にぶつかり死亡

・2003年11月:エゾヒグマの2歳と0歳を、誤って同じ放飼場に入れてしまい、0歳のエゾヒグマが死亡。

・2013年1月:コツメカワウソ(1歳)がプール内で溺死しているのを来場客が発見。

・2015年7月:マレーグマのメスがオスによる暴行が原因で死亡。来場客の撮影した映像がYouTubeで拡散される。

・2017年1月:カンガルーが飼育施設内の網に首を挟み死亡。

これらは不祥事の一部であり、更に細かいものが幾つもある。

札幌市の環境局が管理運営を行っていることもあり、市民から動物園側に「管理不行き届き」や「飼育体制の改善」を長く問われている状態だ。

今回、人工知能による動物管理の取り組みは、このような背景があってからのことである。

実験は順調「的中率80%」

現在、円山動物園での実験は9頭のチンパンジーを検証することで実験が進められている。

人工知能の顔認証システムにより、それぞれのチンパンジーを見分け、それぞれの個体の日常での行動パターンを機械学習している。

尚、現在、顔認証の的中率は80%とのこと。

たった1ヶ月にも及ばない実験で、ここまでの数字を挙げれたことは素晴らしいとしか言い様がない。

動物の生態管理への完璧なる有効活用は、もう時間の問題といっても過言ではないだろう。

人間とは違い、昼夜休むことなく監視が行える人工知能が動物園に備われば、従業員の負担も軽減されるだろうし、なにより管理不行き届きにより、大事な命を失う確率が大きく減らせることになるだろう。



いずれ各家庭のペットにも

現在既に、遠方から自宅のペットを監視できるアプリやカメラは存在する。

ただ、それはあくまで異常を発見する為には、異常が起こっている現場を見ることが必然となってくる。

が、前述したように、ペットを監視することだけで生活を営むことは出来ない我々にとっては、異常事態に遭遇する方が確率的には少ない。

円山動物園での人工知能導入による、動物の生態管理が進化を遂げれば、いずれペットを人工知能が監視してくれる時代が来る。

ゲージから抜けだしたハムスターがどこに行ったか聞けば、

「タンスの裏に隠れています」

と、スマートスピーカーが答えてくれる日が間もなく来るであろう。