銀行から人が消える日:バンカーのAI化が世界的にすすむ【人工知能に奪われる職業】

銀行から人が消える日:バンカーのAI化が世界的にすすむ【人工知能に奪われる職業】


栄枯衰退「銀行」の未来はどこに

かつては「勝ち組」だった銀行員という職業

昭和から平成の初期まで「銀行員」といえば、就職の成功者「勝ち組」に区分されていたが、いまは新卒生たちが敬遠する「落ち目」な就職先となっている。

人口減少による融資や手数料収入が減り、金利の低下から利ざやも減り、メガバンクはいいとしても、地方銀行、信用金庫は存在の危機に立たされている状態。



また都市銀行、メガバンクにおいても、急速に経営難に陥いろうとしている状態で、2000年代初頭に起こった多数の銀行同士の吸収合併劇が、メガバンク同士で行われる可能性も示唆されている。

「銀行員は勝ち組」は、過去の話。

それどころか、銀行員の存在そのものが消え去ろうとしている。

いったい「銀行」でなにが起こっているのか?

世界同時多発的に起こっている「銀行の変革」

その中心にいるのは、もちろん「AI」だ。

無人銀行「中国・上海」に登場

警備員以外の人間はフロアーに存在しない銀行

2018年4月、中国最大の都市「上海」に銀行員や、フロアマネージャーの存在しない「無人銀行」が登場した。

中国建設銀行上海支店は、フロア内にいる人間は「警備員」のみの無人銀行。

銀行員のかわりにロボットが利用客の対応を行う。

利用客は初回利用の際に「専用IDカード」を作成する。

それ以降の入店は、ゲートにIDカードをかざし、顔認証と「眼紋認証」の2つの生体認証で入店可能となる。

入店後は、店内カメラと人工知能・AIによる「映像認識」により利用客を常に識別。

近くにいるロボットに気軽に声をかければ、ロボットは「誰から話しかけられた」をキチンと認識し、顧客データ履歴を元に、業務内容を会話によるコミュニケーションですすめていく。

ATMの進化版「VTM」はバーチャルな銀行員

ロボットとの会話により、銀行に対しての用件を説明し終わると「VTM(Virtual Teller Machine)」と呼ばれる、ATMの進化版のような機械に通される。

この機械が、いわゆる「銀行の窓口」だ。

ATMにカタチこそ似ているが、預金の引き出しや振り込みはもちろん、定期預金の口座作成、住宅ローンの手続きや、ビジネスの融資についてもこの機械で対応できてしまう。

利用客はスクリーンに映し出された「バーチャル銀行員」とコミュニケーションをとりながら、ローンの手続きや、海外送金などを済ませることができてしまうのだ。

VTMで対応しきれない案件については「無人銀行2F」にある有人の銀行で対応。

とはいえ、利用客が銀行に求める業務の90%はVTMで対応しきれるとのことだ。

無人銀行に「リアルなサービス」は存在しない

更に、銀行内にはVRスペースが完備されている。

賃貸物件を探している利用客用のVRで、利用客はVRを通して好みの物件を探すことができる。

また、銀行内には待ち時間を解消するための「図書館」があり、5万冊の蔵書を完備しているのだが、それらは全て銀行内のQRコードをスマフォで読ませることで、ダウンロート閲覧できるようになっている。

「リアルサービスをしない」ということに徹底的に拘った中国建設銀行。

日本にも東京や大阪に支店があるので、そのうち「無人銀行」が国内に登場する日も近いかもしれない。

スウェーデンに降臨したふたりの銀行員AI

ノルデア銀行「2,500人」の人員削減を実施→利益大幅増加

不動産会社Savillsがまとめた2017年度版「Tech City (世界のハイテク都市)リポート」で、ストックホルムが11位となった国「スウェーデン」

ちなみに日本の東京は18位だ。

ハイテク化が著しいスウェーデンの「Norda(ノルデア)銀行」は、ネット銀行の最大手としても有名だ。

1884年からの歴史をもつノルデア銀行だが、2018年の第2四半期の営業成績として、

・前年度比営業利益 31%↑

・前年度比総コスト11%↓

という輝かしい成績を叩き出した。

そして、同時に、

・前年度比従業員数8%↓(2,500人)

という大幅な人員削減を行っている。

徹底的な「自動化」により競争に勝つ

ノルデア銀行のCEOであるカスペル・フォンコスクルは、10年後の銀行業界は、

「人間の銀行員が現在の半分になる」

と、予想。

他行との競争力を維持するために「自動化」が唯一の方法だと論じている。

ノルデア銀行は2017年にエストニアのスタートアップ企業「Feelingstream」と提携。

「新しい顧客のニーズ、新しい規制、新しいビジネスモデル、新しい競争相手など、市場の新しい条件に対して大規模な銀行をより機敏かつ柔軟に対応」するべく、人工知能・AIによる顧客サービスを開始した。

ノラとノヴァ ふたりの銀行員AIレディー

ノルデア銀行には、2人のメインとなる人工知能・AIがいる、

「Nora」は投資顧問であり、瞬時に顧客の貯蓄計画を立てることができる。

「Nova」と呼ばれるスウェーデンの美少女AIは、顧客サービスチャットボットで、口座の解説から、クレジットカードの紛失対応まで素早くこなしてくれる。

この2人のAIレディーだけで、銀行員2,500人分の仕事をこなしてしまったというわけだ。

日本では「銀行」そのものがなくなる?

三菱UFJファイナンシャルグループCEOが描く未来の銀行

最後に、日本国内の銀行について。

三菱UFJファイナンシャルグループは「銀行員がいなくなる」どころか「銀行自体がなくなる」未来予想図を描いている。

グループCEOである平野信行は、20年後の銀行は「店舗レス」だと予想する。

銀行利用客は、自宅や職場など、好きな場所でスマフォ等の端末や、立体映像のAIバーチャル銀行員とコミュニケーションをとり、資産運用のアドバイスを受けたり、金融商品の購入をおこなう。もちろん通貨はすべてデジタルマネー「仮想通貨」だ。

その時代、人間の銀行員は企業融資などを担当し、一般顧客とのやりとりは全てAIまかせになるだろうと、平野信行は語っている。

そのような未来を考えるCEOが経営する三菱UFJ銀行は、銀行員業務の「自動化」や「デジタル化」により、同行従業員数全体の3割に値する「9,500人」のリストラを計画中。

あくまで「9,500人相当の労働力を削減する」という発言で、真実は有耶無耶とされているが、スウェーデンのノルデア銀行同様、大幅な人員削減は実施されるだろう。

奪われていく「職業」

紙幣や硬貨といった現金でさえ、最近はだんだんと見なくなってきた時代。

通貨がデジタル化されれば、それを扱って商売をする銀行員さえも、デジタル化されていくのか?



近年「AIにより職業が奪われる」ということが話題となっているが、その波は「銀行員」という職業に確実に押し寄せてきている。

実質、経営難によるコスト削減から人員を減らさざるをえない状態である銀行業界ではあるが、それに加えて人間数千人分に相当する「人工知能・AI」の台頭により、その数には更に拍車が掛かりそうだ。

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